|
「つる」あるいは「つる牛」という言葉は、ある地方に限定して飼われてきた、かなり血縁関係の高い牛群を指しています。「近交系」に相当するような牛群のことです。
古い時代に意識的に和牛の改良が行われていたかどうかを調べるために、中国地方で羽部義孝先生(全国和牛登録協会の創始者)が調査や聞きとりにより発見されたのが、表に示した4つの「日本最古のつる」です。当時はまだ品種とはいえない在来和牛の時代ですが、つる造成の中心人物は、まだ遺伝の仕組みもわからなかった江戸時代の末期に、実に合理的な改良手法により、立派な近交系を作っていたという驚異的な事実が明らかになりました。これが、現在の中国地方の系統ともつながっていて、全国に飼われている和牛のルーツがほとんど中国地方にあることがうなずけるでしょう。そして、このような発見が和牛の改良事業の発端となったのですから、古い話だといって忘れてしまってよいものではありません。
【新・和牛百科図説より】 |